musical instrument 『沖縄島太鼓』
- 2013/07/17
- 01:00

僕は沖縄島太鼓奏者でもある。沖縄や奄美の唄者(うたしゃ)と月に何度か居酒屋やイベントでライブをしている。
僕が沖縄民謡に出会ったのはかれこれ10年ほど前の事だった。
日本の民謡にこんなに生命力にみちあふれたダイナミックな音楽が沖縄の生活にしっかりと直結し、生き続け歌い継がれている事を知って衝撃をうけた。
そしてダンスミュージックから教訓歌にまで至る星の数ほどある音楽のバリエーション(その多くの曲の作曲家は不明である)の豊かさに驚いた。そして沖縄民謡には優れた音楽に必要不可欠なブルース「歴史の魂」が脈々と流れていた。
沖縄民謡を聴いた瞬間に虜になった僕は様々な縁もあいまってメイン楽器の三線や唄ではなくサイドの島太鼓を叩くことになった。沖縄では太鼓のことをディークと呼ぶ。閉め太鼓をシミディーク、大太鼓をウフディーク。
島太鼓のリズムは今までに聴いた事の無い裏打ちの変拍子で時間を機械的に刻むのではなく太鼓が歌っているようなリズムだった。複雑に聴こえるが不思議と三線と歌に溶け合っている。
島太鼓は意図してズレたリズムを叩く、合って無いようで合っている事が沖縄ブルースのノリを出す不可欠な要素だった。
沖縄民謡のオーソドックスな形態は唄三線と島太鼓で編成される。
沖縄民謡のライブは多くのトラディショナルミュージックがそうであるようにお互いが共通のルールを熟知したうえであとは即興で作り上げていく音楽だった。
沖縄民謡の唄者は一貫してリハーサルをしなかった。本番の曲順もテンポもその場で決めた。ある意味においてこれもまた、ブルースだった。彼らは僕の聴いた事の無い曲をなに食わぬ顔で一言も告げずに始めた。僕はその行為に好感を持ち、スリルや緊張感を楽しく感じた。
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